父の死をきっかけに墓じまいをした話|費用が見えるまでに調べたことと、散骨までの流れ

墓じまいを終えたあとの安堵感を、山並みと晴れゆく空で表現したイメージ画像

父が亡くなったあと、実家のお墓を誰が継ぐのかという問題に向き合うことになりました。長男である僕にお寺から檀家を継ぐ話がありましたが、父自身は希望していた散骨を選び、そのお墓には入りませんでした。僕も将来そのお墓に入る予定はありません。

管理を続けるか、墓じまいをするか。ただ、最初は「墓じまいに何が必要で、全部でいくらかかるのか」がまったく見えませんでした。古いお墓で、何人の先祖が眠っているかも分からなかったからです。

最終的には、先祖9霊分を調べ、うち8霊を火葬し、全員の遺骨を業者に依頼して散骨しました。お寺への支払いから散骨までの主な費用は1,667,700円。仕事の合間に進め、途中で体調を崩して止まった時期も含めると、完了まで約半年かかりました。

この記事は、僕が実際にどこで迷い、誰に確認し、どうやって費用と手順の全体像をつかんだかの記録です。お墓の状態、自治体、お寺や依頼先によって手続きと費用は変わるため、これから墓じまいをする方は、関係先に個別に確認してください。

目次

親族に相談し、お寺に話を聞くところから始めた

まず親戚や兄弟に、お墓を今後どうするか相談しました。僕の場合は「任せる」と言ってもらえたので、墓じまいをする方向でお寺に相談を始めました。ただ、費用の負担をどう分けるかは、この時点ではまだ決めていません。総額が分からなければ、実行するかどうかも判断できなかったからです。

実は父の兄弟とは30年近く疎遠で、僕は連絡先を知りませんでした。父が亡くなった際に携帯電話の電話帳をすぐには消しておらず、そこに連絡先が残っていたおかげで話ができました。お墓は自宅から車で約30分の隣の市にあり、何度も足を運べたことも、進めるうえでは助かりました。

何人眠っているか分からず、改製原戸籍をたどった

お墓には祖父が入っています。祖父は火葬済みで、骨壺に納められていました。それより前の4人の名前もお墓に刻まれていましたが、古く大きなお墓だったため、お寺から「さらに前の先祖も入っているかもしれない」と言われました。

そこで、お墓のある市の役所で改製原戸籍を取得しました。資料をお寺に渡し、家系図の作成や調査も踏まえて戸籍で追える範囲を調べた結果、祖父より前に8霊、祖父を含めて計9霊が入っていると判断しました。

祖父以前の先祖は、戸籍で分かった亡くなった時期と、当時その地域で土葬が行われていたことから、土葬の可能性があると考えました。後にお墓を掘り起こした際、その見立てが合っていたことを確認しました。最初から9霊の人数や埋葬状態が分かっていたわけではありません。

この調査で人数が見えて、ようやくお寺への支払いなどを含む見積もりを具体的に考えられるようになりました。

必要な作業を一つずつ見積もり、総額を出した

お寺からは、閉眼供養が1霊あたり10万円で9霊分の90万円、家系図の作成や調査への謝礼を含めて100万円という金額を提示されました。家系図作成や調査は僕から明確に依頼したものではありませんでしたが、お寺とも相談し、この金額で進めました。これはあくまで僕のケースで提示された金額です。

次に石材屋へ、お墓から遺骨を取り出して更地に戻す作業を依頼しました。見積もりは506,000円です。

祖父より前の8霊については火葬場にも確認しました。火葬する人数が8霊でも、必要な炉の数は、実際に出てくる遺骨の量が分からないと判断できません。石材屋やお寺に以前の例を聞き、今回の量なら1炉で対応できそうか、何度か確認してもらいました。僕が利用した市では、お墓のある市内で火葬する場合は無料、市外で火葬する場合は有料と案内されました。今回は市内の火葬場を利用したので、火葬料金はかかっていません。

散骨業者にも、この時点で料金やプランの適用について相談しました。骨壺の数だけで料金が決まるわけではなく、9霊分をどのプランで受け付けてもらえるかが問題でした。担当者からは、人数が分かっているので、個別のプランを9霊分適用する可能性もあると説明されました。それでは費用が大きく変わるため、「まとめて散骨プラン」1件で引き受けてもらえないか相談しました。今回その条件で進められると確認して見積もりを取り、正式な散骨依頼は火葬の日程が決まってから行いました。加えて、選別・乾燥はプラン料金とは別の契約・費用になると案内されました。どのケースでも同じ扱いになるわけではないので、依頼前に確認が必要です。

こうして各所の見積もりをそろえ、ようやく親族と総額を共有して、費用を折半する話ができました。

僕が実際に進めた手続きと火葬・散骨

役所・お寺・石材屋で手続きを進めた

費用の見通しが立ってから、役所で改葬に関する手続きをしました。僕が利用した自治体では、戸籍で追えた9霊を「先祖一同」として1件にまとめることはできず、1霊ごとに書類と許可が必要でした。

その後、石材屋と掘り起こしの日程を決め、お寺とは離檀の手続きを進めました。掘り起こした遺骨は、火葬場へ持ち込む前に汚れを落として乾かす必要があると説明を受けましたので、この作業を石材屋にどこまで対応してもらえるかも確認しました。閉眼供養や離檀のタイミングはお寺とも相談しています。

火葬場の予約と日程調整

特に難しかったのは、石材屋から火葬場へつなぐタイミングです。石材屋が作業を始め、遺骨が出てきて初めて量を確認できます。その量を見て炉の数の見通しを立て、洗浄・乾燥を進めている間に役所の窓口で火葬の手続きをしました。火葬許可証を受け取った際に、役所から火葬場へ予約を取ってもらいました。火葬日が決まってから、散骨業者へ正式に依頼する流れです。事前に各所へ相談はしていましたが、掘り起こすまではこの日程がどうつながるか分かりませんでした。

土葬されていた8霊の火葬については、改葬の手続きで受け取った書類を役所に提出し、火葬を申請しました。僕のケースでは、同じ炉を使う予定でも、火葬のための書類は8霊それぞれに必要でした。

火葬前の遺骨を長期間自宅で保管するのは、僕には負担が大きいと感じていました。そのため、石材屋の作業から火葬まで、できるだけ間を空けずに進められるかが気がかりでした。幸い、掘り起こしからあまり日を置かず、友引を避けた日曜日に火葬の予約が取れました。

火葬当日から散骨まで

火葬当日まで遺骨は石材屋に預かってもらい、当日にお寺で受け取ることにしました。その場で石材屋から請求書も受け取り、お寺に閉眼供養をしていただいてから、遺骨を持って火葬場へ向かいました。こうして、火葬前の遺骨を自宅で預からずに済む流れを作れました。

当日は祖父の分とは別に、以前の先祖8霊を同じ炉で火葬しました。火葬後、遺骨は骨壺に少し入りきらなかったのですが、その場で火葬場と相談して対応してもらい、持ち帰る8霊分は一つの骨壺に納められました。祖父の骨壺と合わせて、最終的に骨壺は二つです。8霊分の火葬を証明する書類も、火葬場からそれぞれ受け取りました。

散骨業者には、二つの骨壺と必要な許可・証明書類を渡しました。祖父は以前に火葬済みでしたが、祖父の火葬証明書も求められました。僕は梱包や発送の手間を減らしたかったので、有料の遺骨引き取りサービスを利用しています。散骨が終わったあとには、散骨した場所を示す証明書を受け取りました。

主な費用は1,667,700円

僕がお寺への支払いから散骨までに支払った金額は、次のとおりです。

内容支払額
お寺:9霊分の閉眼供養と謝礼1,000,000円
石材屋:墓じまいの作業506,000円
骨壺11,000円
火葬0円
まとめて散骨プラン110,000円
散骨業者との別契約:選別・乾燥27,500円
遺骨の引き取り13,200円
合計1,667,700円
石材屋の作業費50万6,000円と骨壺代1万1,000円の領収証、散骨費用15万700円の請求書を並べた写真
石材屋・骨壺の領収証と散骨業者の請求書。氏名や依頼先名などは、公開にあたり伏せています。

散骨業者には、「まとめて散骨プラン」とは別に、選別・乾燥の契約が必要と言われました。担当者からは、基本的に利用者が支払う費用だと説明を受け、27,500円を支払っています。

書類の発行・コピー代や交通費など、細かな費用はこの表には含めていません。火葬代が0円だったのは、お墓のある市内で火葬したためです。市外で火葬する場合は有料と案内されました。お寺への支払い、火葬場の料金、散骨プランの適用条件は僕のケースのものです。ほかの家庭でも同じ金額になるとは限りません。

親族と費用を分けることになっていたので、領収書は保管しました。お寺への支払いについても相談し、受領書にあたる書面を書いてもらっています。

墓じまいに伴う供養料など、100万円を受け取ったことが記されたお寺の受領書
お寺から受け取った受領書。氏名や寺院名などは、公開にあたり伏せています。

いちばん大変だったのは「次に何をするか」が見えなかったこと

こうしてまとめると、順番に確認して進めただけのように見えるかもしれません。でも、実際にやっている間は全貌が分かりませんでした。ネットで調べても一般的な流れは見つかる一方で、古い土葬の遺骨が出てくる場合に、自分はどこへ連絡し、どの順番で何を用意するのか、細かなところまでは分からなかったのです。

仕事の合間にお寺や役所へ何度も電話し、休みの日に動き、役所の窓口へ行くためには有休も取りました。窓口で説明しても、その場で確認が必要になったり、次に行くとまた最初から事情を説明したり。一つやることが分かるたびに「では次はどうするのか」と聞く繰り返しでした。特に、遺骨の量を確認してから火葬場を予約し、その日程に合わせて散骨を依頼する部分は、最後まで段取りを気にしていました。

葬儀から散骨までをまとめて頼めるケースとは違い、我が家は古いお墓の中身を調べるところから始める必要がありました。費用も、人数、火葬の方法、散骨の契約条件が分かるまでは確定しません。総額が見えるまでは、本当に実行するか迷っていました。

途中で体調を崩して作業が止まった時期もあり、始めてから終わるまで約半年。実際に動いていたのは3か月ほどだったと思います。書類を待つ時間もあり、仕事をしながらすぐに終えられることではありませんでした。

おわりに

僕にとって墓じまいは、決まった手順をなぞる作業というより、分からないことを一つずつ聞いて全体像を作っていく作業でした。親族と連絡が取れたこと、お墓が通える距離にあったことも、進められた理由の一つです。

終わってみて一番大きかったのは、正直、安堵した気持ちです。祖父より前の先祖は顔もわかりませんが、調べて供養し、散骨まで終えることができました。

同じように、古いお墓に何人眠っているか分からず、費用も見えなくて迷っている方に、この記録が一つの参考になればうれしいです。まずは親族と話し、お寺・石材屋・役所・遺骨の行き先となる事業者に、自分のケースで何が必要かを確認するところから始まるのだと思います。

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この記事を書いた人

ガジェットや暮らしを整えることが好きで、ゲームや映画、旅行なども楽しんでいます。翔ログでは、「ほどよい最適化」と「日々の体験談」を2本柱に、実際に使ったものや体験したことを自分の言葉で発信しています。

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